物質の三態と状態変化|蒸発と沸騰の違いを理解する

危険物の性質を理解するには、液体だけでなく、そこから発生する蒸気にも注目する必要があります。

その土台となるのが、物質の三態と状態変化です。この記事では、変化の名称と、蒸発・沸騰の違いを整理します。

1.物質の三態:固体・液体・気体

物質の三態とは、固体・液体・気体の3つの状態です。水なら、氷が固体、水が液体、水蒸気が気体に当たります。

それぞれの特徴を、形と体積で比べてみましょう。

状態 形 体積
固体 一定の形を保つ ほぼ一定
液体 容器に合わせて変わる ほぼ一定
気体 一定の形をもたない 容器などの条件に応じて変わる

液体は容器に合わせて形を変えますが、気体のように容器内の空間全体へ広がるわけではありません。

なお、固体や液体の「体積がほぼ一定」という説明は、同じ量・同じ温度などで比べたときの特徴です。温度などが変われば、体積も変化します。

2.状態変化の名称と方向

同じ物質が固体・液体・気体の間で状態を変えることを、状態変化といいます。氷が水になっても、物質としては同じ水です。

名称は、変化の方向と組み合わせて覚えます。

変化の方向 名称 読み方
固体 → 液体 融解 ゆうかい
液体 → 固体 凝固 ぎょうこ
液体 → 気体 気化 きか
気体 → 液体 液化・凝縮 えきか・ぎょうしゅく
固体 → 気体 昇華 しょうか
気体 → 固体 凝華 ぎょうか

昇華と凝華は、液体を経ずに直接変化する点が特徴です。例えば、ドライアイスが直接気体になる変化は昇華です。

資料によっては両方向とも「昇華」と呼ぶことがありますが、この記事では方向によって区別します。

固体・液体・気体の間の6方向の状態変化と、融解・凝固・気化・液化・凝縮・昇華・凝華の名称を示す図
図1:三態と状態変化

「融解」と「溶解」は別の現象です。氷がとけて液体の水になるのは融解、塩が水に溶けるのは溶解です。

3.気化には「蒸発」と「沸騰」がある

液体から気体への変化である気化には、蒸発と沸騰があります。液体が気化して生じた気体を、蒸気ともいいます。ここではまず、気化が起こる場所に注目して区別します。

現象 気化が起こる場所 特徴
蒸発 液体の表面 沸騰していなくても起こる
沸騰 表面だけでなく液体の内部でも起こる 液体内部に蒸気の泡が生じる

洗濯物が乾くのは、布についた水が蒸発し、水蒸気として空気中へ移るためです。液体が気体になるために、必ず沸騰させる必要はありません。

一方、沸騰では、その液体が気化してできた蒸気の泡が内部に生じます。単に泡が見えるだけでは、沸騰とは判断できません。その液体が気化してできた蒸気の泡かどうかを区別します。また、沸騰中も表面では蒸発が起こっています。

液面で起こる蒸発と、内部でも蒸気の泡が生じる沸騰を比較した図。沸騰中も表面では蒸発が起こる
図2:蒸発と沸騰の違い

資料によっては、液体から気体への変化全般を「蒸発」と呼ぶこともあります。この記事では、表面で起こる蒸発と、内部でも蒸気の泡が生じる沸騰を区別します。

蒸発と沸騰の詳しい仕組みや、沸騰が起こる条件・沸騰する温度は、後続の「蒸気圧と沸点」で扱います。

4.水蒸気と白い湯気を区別する

水蒸気は、目に見えない気体の水です。お湯の上に見える白い湯気は、水蒸気が冷やされてできた小さな水滴、つまり液体です。

この変化は「気体 → 液体」なので、凝縮に当たります。見た目だけで「空中にあるものは気体」と判断しないようにしましょう。

5.危険物の学習では「蒸気」に注目する

ガソリンなどの可燃性液体からも蒸気が発生し、その可燃性蒸気が火災の危険性に関係します。

「沸騰していないから蒸気は出ていない」という判断はできません。液体と、そこから発生する蒸気を分けて考えることが、後続の燃焼・引火点の理解につながります。

押さえるポイント

  • 状態変化の名称は、変化の方向とセットで覚える。
  • 蒸発は液体の表面で起こり、沸騰前にも起こる。
  • 沸騰では、液体内部にも蒸気の泡が生じる。
  • 白い湯気をつくる水滴は液体であり、水蒸気そのものではない。

確認問題

次の4問で、名称と現象を結び付けられるか確認しましょう。

問題1

次の現象と状態変化の名称の組み合わせで、正しいものはどれですか。

  1. 氷がとけて水になる ― 凝縮
  2. 液体の水が凍る ― 融解
  3. ドライアイスが液体を経ずに気体になる ― 昇華
  4. 水蒸気が水滴になる ― 気化
答え・解説を見る

答え:3

ドライアイスが直接気体になるのは昇華です。1は融解、2は凝固、4は凝縮(液化)が正しい名称です。

問題2

ふたのない容器に入れた水を室温で置いたところ、水が減りました。こぼれや漏れはなく、沸騰もしていません。最も適切な説明はどれですか。

  1. 沸騰していないので、水が気体になることはない。
  2. 水が表面から蒸発し、水蒸気として空気中へ移った。
  3. 水が凝縮して空気中へ移った。
  4. 液体の水が、物質として消滅した。
答え・解説を見る

答え:2

水は沸騰前にも表面から蒸発します。1は沸騰を必須としている点、3は気体から液体への変化を使っている点、4は消滅とする点が誤りです。

問題3

ある液体の表面から気体が発生し、内部でも、その液体が気化してできた蒸気の泡が生じています。この現象について、正しいものはどれですか。

  1. 気化は、液体の表面だけで起こっている。
  2. 液体の内部に泡があるので、表面の蒸発は止まっている。
  3. 内部の蒸気の泡は、凝固によってできている。
  4. 沸騰が起こっており、表面では蒸発も起こっている。
答え・解説を見る

答え:4

内部でも液体そのものが気化して蒸気の泡が生じているため、沸騰です。沸騰中も表面では蒸発が起こります。1は内部の気化を無視し、2は表面の蒸発が止まるとする点、3は液体から固体への変化を使う点が誤りです。

問題4

お湯から発生した水蒸気が冷やされ、白い湯気が見えました。白い湯気をつくる水の粒の状態と、その粒ができる変化の組み合わせとして、正しいものはどれですか。

  1. 液体 ― 凝縮
  2. 気体 ― 凝縮
  3. 液体 ― 気化
  4. 固体 ― 凝固
答え・解説を見る

答え:1

白い湯気をつくる粒は小さな水滴なので液体です。気体の水蒸気から液体の水滴になる変化は凝縮(液化)です。Bは状態、Cは変化の方向、Dは状態と変化の両方が誤りです。

次に学ぶ

次は「気体と圧力の基礎」です。気体の体積・温度・圧力の関係を学び、蒸気圧と沸点の理解へつなげます。

参考・出典