屋内給油取扱所およびセルフスタンドの基準

給油取扱所のなかでも、区別して取り扱うものとして

  • 屋内給油取扱所
  • 顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所(セルフスタンド)

があります。

これらの施設の規定について学びましょう。

屋内給油取扱所の基準

屋内給油取扱所は、次のように定義されています。

  • 建築物内に設置するもの:政令第17条第2項
  • 上屋(キャノピー)の空地に対する面積の割合が1/3を超えるもの(当該面積の割合が2/3までのもので、火災の予防上安全であると認められるものは除く):規則第25条の6

かっこの部分は、令和3年7月の改正にて追加されました。

屋外給油取扱所の基準に加えて、以下の基準が適用されます。

構造

屋内給油取扱所は、消防法施行令別表第1(6)に掲げる用途に供する部分を有しない建築物にのみ設置することができます。

すなわち、以下の施設に設けることはできません。

  • 病院、診療所、助産所
  • 養護老人ホーム、デイサービスセンター等
  • 障害者支援施設等
  • 保育所、児童養護施設等
  • 幼稚園、特別支援学校

 

火災予防のため、屋外に設ける給油取扱所に比べて厳しい基準が設けられています。

壁・柱・床
はり・屋根
耐火構造とする
窓・出入口
  • ガラスを用いる場合は網入りガラスとする
  • 防火設備を設ける

原則として、屋内給油取扱所の1階部分については、2方向に壁を設けてはいけません。

ただし、以下の措置を講じた場合は、自動車等が出入りする側に面する1方向のみを開放すればよいこととされています。(規則第25条の9)

  1. 給油または灯油・軽油の詰め替え作業場から、屋外の空地のうち避難上安全な場所までの距離が10m以内
  2. 専用タンクの注入口は、事務所等の出入口の付近その他避難上支障のある場所に設けない
  3. 通気管の先端が建築物の屋内給油取扱所の用に供する部分に設けられる専用タンクで、引火点が40℃未満の危険物を取り扱うものには、移動貯蔵タンクから危険物を注入するときに放出される可燃性の蒸気を回収する設備を設ける
  4. 自動車等の点検・整備を行う作業場に供する部分で床又は壁で区画されたもの及びポンプ室の内部には、可燃性の蒸気を検知する警報設備を設ける
  5. 固定給油設備及び固定注油設備には、自動車等の衝突を防止するための措置を講ずる

設備

専用タンク 危険物の過剰な注入を自動的に防止する設備を設ける
上階がある場合 危険物の漏えいの拡大及び上階への延焼を防止するための措置を講ずる

 

セルフスタンドの基準

顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所を、セルフスタンドといいます。

給油取扱所、屋内給油取扱所の基準に加えて、以下の基準が適用されます。

セルフスタンドの表示

進入する際に見やすい箇所に、顧客が自ら給油等を行うことができる旨を表示します。

多くは「セルフ」等の文字が掲げられています。

顧客用固定給油設備

セルフスタンドでは、顧客用固定給油設備以外の給油設備で顧客に給油させることはできません。

顧客用固定給油設備には、以下の規定が定められています。

給油ホース 著しい引張力が加わると安全に分離するとともに、危険物の漏えいを防止できる構造とする
給油ノズル
  • 給油ホースの先端部に手動開閉装置を備えた給油ノズルを設ける
  • 燃料タンクが満量となったときに自動的に停止する構造とする
誤給油の防止 ガソリンと軽油相互の誤給油を防止できる構造とする
上限設定 1回の連続した給油量および給油時間の上限を設定できるようにする

ひっかけ選択肢として、「燃料タンクが満量になったときに警報を発する」というものがあります。

警報が鳴るだけでは危険物の漏えいを防止できないため、誤りです。

使用方法および危険物の品目を表示

顧客用固定給油設備の見やすい箇所に、ホース機器等の使用方法や危険物の品目を表示します。

色分けについて出題されることもあります。

自動車を運転する方は給油時に見慣れているかもしれません。

セルフスタンド 色分け

  • ハイオク  ・・・ 黄色
  • レギュラー ・・・ 赤色
  • 軽油    ・・・ 緑色
  • 灯油    ・・・ 青色

制御卓(コントロールブース)

顧客自らによる給油等の作業を監視・制御し、必要な指示を行うための制御卓(コントロールブース)を設けます。

災害の危険があるときには給油等をさせない、給油が完了したら作業を行えない状態にする、などの業務を行います。

消火設備

セルフスタンドには、第3種泡消火設備を設置しなければいけません。