法令とは何か
法令の勉強を始めるにあたって、危険物取扱者試験における「法令」が何を指すかについて解説します。
ここでいう危険物とは、可燃物や爆発物など、火災発生の危険性が高い性質をもつ物質のことを言います。
危険物による火災は拡大しやすく、また消火が困難であることから、私たちの生命や財産に被害が及ぶ可能性があります。
火災を予防し、生命や財産を保護するためには、危険物の安全な貯蔵・取扱い・運搬の方法について技術的な基準を設け、それを守らせるための仕組みが必要です。
そこで制定されているのが「消防法」です。
消防法には、火災の予防や危険物の取扱いについての大枠が定められていますが、細かい技術的な基準は記載されていません。
そこで、消防法で定められた規定を実施するために、より詳細な内容を定めた「危険物の規制に関する政令」があります。
そしてさらに、消防法及び政令で定められた規定を実施するための内容を定めた「危険物の規制に関する規則」があります。
危険物取扱者試験では、以上の3つをまとめて法令と呼びます。
消防法が最上位に位置し、その実施のために政令や省令がある、という形です。
法体系にはこのような力関係があります。
もう少し詳しくみてみましょう。
消防法
昭和23年に制定された法律です。
法律とは国会での審議を経て制定されるものです。法律は強いルールで、権利の制限や義務を課すことができます。
消防法第一章第一条において、この法律の目的が次のように述べられています。
この法律は、火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害による被害を軽減するほか、災害等による傷病者の搬送を適切に行い、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。
そのほか、危険物の定義や危険物取扱者、消防組織の役割、消防設備などについて基本的な事項が定められています。
なお、危険物取扱者試験において単に「法」といったときは消防法を指します。
危険物の規制に関する政令
昭和34年に制定された政令です。
政令とは、法律を実施するために詳細な内容を定めたもので、内閣によって制定されるものです。施行令ともいいます。
危険物の規制に関する政令では、危険物の判定試験や製造所等の区分、施設の基準などが定められています。
以下のリンクから全文を読むことができます。
なお、危険物取扱者試験においては単に「政令」と呼びます。
危険物の規制に関する規則
昭和34年に制定された省令です。
省令とは、法律や政令を実施するために詳細な内容を定めたもので、各省の大臣によって制定されるものです。
本規則は総理府令として制定されたものですが、現在では総務省の管轄です。
(総理府は2001年をもって内閣府に統合されています)
以下のリンクから全文を読むことができます。
なお、危険物取扱者試験においては単に「規則」と呼びます。
法令を学ぶときの心得
消防法をはじめとする法体系について概説してきました。
危険物取扱者試験の対策に関していえば、法令の条文をすべて読む必要はありません。
法令の中でも重要なポイントのみ学べば十分です。
しかし、危険物取扱者として、自らの責務がどのような法体系の上に成り立っているのか、危険物施設の基準や取扱い等の基準がどう定められているか、知っておいて損はないはずです。