消火設備

製造所等においては、消火設備の設置が義務付けられています。

設備の種類や設置条件などを覚えましょう。

消火設備

消火設備は、以下の5種に分類されています。

種別 消火設備 具体的な名称
第1種 消火栓
  • 屋外消火栓
  • 屋内消火栓
第2種 スプリンクラー スプリンクラー
第3種 特殊消火設備
  • 水蒸気消火設備
  • 水噴霧消火設備
  • 泡消火設備
  • 不活性ガス消火設備
  • ハロゲン化物消火設備
  • 粉末消火設備
第4種 大型消火器 大型消火器
第5種 小型消火器 その他
  • 小型消火器
  • 水バケツ、乾燥砂、膨張ひる石など

各設備の設置基準については、規則第32条から第32条の11までに記載されています。

以下にまとめていきます。

第1種消火設備

第1種には消火栓設備が該当します。

建物内でこのような設備を見かけることがあるかと思います。

消火栓

屋内消火栓は、製造所等の建築物の階ごとに

  • その階の各部分からホース接続口までの水平距離が25m以下となるように
  • 各階の出入口付近に1個以上

設けなければいけません。

屋外消火栓は、防護対象物の各部分からホース接続口までの水平距離が40m以下となるように設けなければいけません。

第2種消火設備

第2種はスプリンクラー設備です。

火災時に天井から水を噴出して消火します。

スプリンクラー

防護対象物の各部分からスプリンクラーヘッドまでの水平距離が1.7m以下となるように設けなければいけません。

第3種消火設備

第3種には、水蒸気・水・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末を消火剤として用いた消火設備です。

「○○消火設備」と称されるものが該当します。

各消火剤の放射能力等に応じて、防護対象物の火災を有効に消火できるように設けます。

第4種消火設備

第4種は大型消火器です。

大型消火器は、車輪付きのものを意味します。

大型消火器は、防護対象物の各部分から消火設備に至る歩行距離が30m以下となるように設けなければいけません。

第5種消火設備

第5種には、小型消火器および簡易消火用具が該当します。

消火器

簡易消火用具には以下のものが該当します。

  • 水バケツ
  • 水槽
  • 乾燥砂
  • 膨張ひる石
  • 膨張真珠岩

第5種消火設備の設置に際しては

に設けなければいけません。

 

消火設備の設置基準

製造所等と消火設備

製造所等の種類や規模、取り扱う危険物などに応じて、設置しなければならない消火設備の種類や個数が規定されています。(政令第20条、規則第33条)

区分 消火設備
第1種 第2種 第3種 第4種 第5種
著しく消火困難な製造所等 いずれか1つを設置 必ず設置 必ず設置
消火困難な製造所等 必ず設置 必ず設置
その他の製造所等 必ず設置

具体的な条件は細かいので、試験に問われることはまずありません。

 

その他、特定の製造所等や電気設備に対する設置基準は覚えましょう。

  • 顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所第3種の固定式の泡消火設備
  • 地下タンク貯蔵所第5種の消火設備を2個以上
  • 移動タンク貯蔵所:第5種の自動車用消火器のうち、粉末消火器(充てん量3.5kg以上のもの)またはその他の消火器を2個以上
  • 電気設備:面積100㎡ごとに1個以上

所要単位と能力単位

製造所等にどの程度の消火能力を備える必要があるかを見積もるために、所要単位能力単位を用います。

規則第29条に次のように定義されています。

  • 所要単位:消火設備の設置の対象となる建築物その他の工作物の規模または危険物のの基準の単位
  • 能力単位:所要単位に対応する消火設備の消火能力の基準の単位

所要単位÷能力単位で設置すべき消火設備の個数を求めることができます。

 

所要単位は次の基準値を用いて算定します。(規則第30条)

製造所等の構造・危険物 1所要単位の値
製造所
取扱所
外壁が耐火構造 延べ面積 100㎡
外壁が耐火構造でない 延べ面積 50㎡
貯蔵所 外壁が耐火構造 延べ面積 150㎡
外壁が耐火構造でない 延べ面積 75㎡
危険物 指定数量の10倍

例えば、延べ床面積が550㎡の製造所で外壁が耐火構造である場合、所要単位は550÷100=5.5単位となります。

耐火構造でない場合は所要単位が倍増、すなわちより多くの消火設備が必要とされます。

 

火災への適応

各消火設備・消火剤がどの危険物の火災に適応するかが非常に重要です。

政令別表第5にまとめられています。

消火設備の区分











第1類 第2類 第3類









































第1種 屋内・屋外消火栓
第2種 スプリンクラー
第3種 水蒸気・水噴霧
不活性ガス
ハロゲン化物
粉末 りん酸塩類
炭酸水素塩類
その他
第4種

第5種

棒状
霧状
強化液 棒状
霧状
二酸化炭素
ハロゲン化物
粉末 りん酸塩類
炭酸水素塩類
その他
第5種 水バケツ・水槽
乾燥砂
膨張ひる石・膨張真珠岩

丸暗記ではなく、ポイントを押さえましょう。

  • 乾燥砂、膨張ひる石、膨張真珠岩はすべての類の危険物に適応する
  • 水系消火剤は禁水性の危険物および引火性液体に適応しない
  • 水や泡は感電の危険があるため電気設備には用いない。ただし、霧状であれば適応する
  • ガス系消火剤は電気設備、引火性固体、引火性液体に適応する