危険物判定試験と危険等級

ある物品が危険物であるか否かは、危険物の類ごとに危険性を有しているかの試験を行い、判定します。

危険物の試験方法

政令で定める類ごとの性質と試験方法です。

類別 性質 判定試験
第1類 酸化力の潜在的な危険性 粉粒状:燃焼試験
粉粒状以外:大量燃焼試験
衝撃に対する敏感性 粉粒状:落球式打撃感度試験
粉粒状以外:鉄管試験
第2類 火炎による着火の危険性 小ガス炎着火試験
引火の危険性 引火点測定試験
第3類 空気中での発火の危険性 自然発火性試験
水と接触して発火または可燃性ガスを発生する危険性 水との反応性試験
第4類 引火の危険性 引火点測定試験
第5類 爆発の危険性 熱分析試験
加熱分解の激しさ 圧力容器試験
第6類 酸化力の潜在的な危険性 燃焼試験

各試験の内容は政令第1条の3から8に規定されています。

危険物の性質の区分

指定数量の表に記載されている性質名の分類方法です。

政令別表第3の備考欄に述べられています。

第1種・第2種・第3種 酸化性固体

第1種酸化性固体とは

粉粒状の物品では次の①に掲げる性状を示すもの、その他の物品では次の①及び②に掲げる性状を示すもの
  1. 燃焼試験において『試験物品と木粉との混合物30gの燃焼時間が、臭素酸カリウムと木粉との混合物30gの燃焼時間と等しいか、もしくは短い』こと
    または塩素酸カリウムを標準物質とする落球式打撃感度試験において『試験物品と赤りんとの混合物の爆発する確率が50%以上である』こと
  2. 大量燃焼試験において『試験物品と木粉との混合物500gの燃焼時間が、過塩素酸カリウムと木粉との混合物500gの燃焼時間と等しいか、もしくは短い』こと
    および『鉄管試験(試験物品とセルロース粉との混合物を鉄管に詰めて砂中で起爆する)において鉄管が完全に裂ける』こと

ここで、燃焼時間とは混合物に点火した場合に着火してから発炎しなくなるまでの時間をいいます。

第2種酸化性固体とは
粉粒状の物品では次の①に掲げる性状を示すもの、その他の物品では次の①及び②に掲げる性状を示すもので、第1種酸化性固体以外のもの
  1. 燃焼試験において『試験物品と木粉との混合物30gの燃焼時間が、過塩素酸カリウムと木粉との混合物30gの燃焼時間と等しいか、もしくは短い』こと
    および硝酸カリウムを標準物質とする落球式打撃感度試験において『試験物品と赤りんとの混合物の爆発する確率が50%以上である』こと
  2. 第1種酸化性固体の②に掲げる性状
第3種酸化性固体とは
第1種酸化性固体または第2種酸化性固体以外のもの

第1種・第2種 可燃性固体

第1種可燃性固体とは
小ガス炎着火試験(試験物品に火炎を接触させてから着火するまでの時間を測定し、燃焼の状況を観察する)において『試験物品が3秒以内に着火し、かつ、燃焼を継続する』もの
第2種可燃性固体とは
第1種可燃性固体以外のもの(小ガス炎着火試験において試験物品が10秒以内に着火し、かつ、燃焼を継続するもの)

第1種・第2種・第3種 自然発火性物質及び禁水性物質

自然発火性試験とは次の試験をいう。

  • 固体:ろ紙の上で発火するか否かを観察する試験
  • 液体:磁器の中で発火するか否かを観察する試験

水との反応性試験とは次の試験をいう。

  • 純水に浮かべたろ紙の上で試験物品が純水と反応して発生するガスが発火するか否かを観察する試験
    もしくは発生するガスに火炎を近づけた場合に着火するか否かを観察する試験
  • または試験物品に純水を加え、発生するガスの量を測定するとともに発生するガスの成分を分析する試験
第1種自然発火性物質及び禁水性物質とは
自然発火性試験において試験物品が発火するもの、または水との反応性試験において発生するガスが発火するもの
第2種自然発火性物質及び禁水性物質とは
自然発火性試験において試験物品がろ紙を焦がすもの、または水との反応性試験において発生するガスが着火するもので、第1種自然発火性物質及び禁水性物質以外のもの
第3種自然発火性物質及び禁水性物質とは
第1種自然発火性物質及び禁水性物質または第2種自然発火性物質及び禁水性物質以外のもの

第1種・第2種 自己反応性物質

第1種自己反応性物質とは
孔径が9mmのオリフィス板を用いて行う圧力容器試験において破裂板が破裂するもの
第2種自己反応性物質とは
第1種自己反応性物質以外のもの

水溶性液体とは

1気圧において、温度20℃同容積の純水と緩やかにかき混ぜた場合に、流動がおさまった後も当該混合液が均一な外観を維持するものをいいます。
なお、水溶性液体以外のものを非水溶性液体といいます。

危険等級の区分

危険物は、危険等級Ⅰ危険等級Ⅱ及び危険等級Ⅲに区分されます。(規則第39条の2)

危険等級 類別 品名など
危険等級Ⅰ 第1類 第1種酸化性固体
第3類 カリウム、ナトリウム
アルキルアルミニウム、アルキルリチウム
黄リン
第1種自然発火性物質及び禁水性物質
第4類 特殊引火物
第5類 第1種自己反応性物質
第6類 すべて
危険等級Ⅱ 第1類 第2種酸化性固体
第2類 硫化リン、赤リン、硫黄
第1種可燃性固体
第3類 危険等級Ⅰに該当しないものすべて
第4類 第1石油類アルコール類
第5類 危険等級Ⅰに該当しないものすべて
危険等級Ⅲ 第1類、第2類、第4類危険物のうち、危険等級Ⅰ、Ⅱに該当しないものすべて
各類の危険物を横並びでみたときに、どの程度の危険性を有するかを見て取ることができます。
危険等級は、運搬容器に表示する必要があります。
出題例もあるので、代表的な危険物がどの等級に該当するかが判断できるようにしておくとよいでしょう。