指定数量とは
危険物について、その危険性を勘案して政令で定める数量を指定数量といいます。
扱う危険物の量が指定数量を超えるか否か、または指定数量の何倍かで、法規制の内容が変わってきます。
もちろん試験でも必ず問われるので、よく理解しておきましょう。
指定数量と法規制
指定数量以上の危険物を貯蔵または取り扱う場合、消防法の規制を受けます。
一方、指定数量未満の危険物については、消防法ではなく、市町村ごとの火災予防条例による規制を受けます。
特に指定数量の1/5以上指定数量未満のものを少量危険物といい、届出が必要になります。
また、危険物の運搬については数量によらず消防法の規制を受けます。
政令別表第三(指定数量)
危険物ごとの指定数量は政令別表第三に定められています。
類別 | 品名 | 性質 | 指定数量 |
第1類 | 第1種酸化性固体 | 50kg | |
第2種酸化性固体 | 300kg | ||
第3種酸化性固体 | 1,000kg | ||
第2類 | 硫化リン、赤リン、硫黄 | 100kg | |
第1種可燃性固体 | 100kg | ||
鉄粉 | 500kg | ||
第2種可燃性固体 | 500kg | ||
引火性固体 | 1,000kg | ||
第3類 | カリウム、ナトリウム アルキルアルミニウム アルキルリチウム |
10kg | |
第1種自然発火性物質及び禁水性物質 | 10kg | ||
黄リン | 20kg | ||
第2種自然発火性物質及び禁水性物質 | 50kg | ||
第3種自然発火性物質及び禁水性物質 | 300kg | ||
第4類 | 特殊引火物 | 50L | |
第1石油類 | 非水溶性液体 | 200L | |
水溶性液体 | 400L | ||
アルコール類 | 400L | ||
第2石油類 | 非水溶性液体 | 1,000L | |
水溶性液体 | 2,000L | ||
第3石油類 | 非水溶性液体 | 2,000L | |
水溶性液体 | 4,000L | ||
第4石油類 | 6,000L | ||
動植物油類 | 10,000L | ||
第5類 | 第1種自己反応性物質 | 10kg | |
第2種自己反応性物質 | 100kg | ||
第6類 | 300kg |
指定数量のポイントは以下の通りです。
- 第4類のみ単位がリットル、その他はキログラム
- 第4類の第1~3石油類について、水溶性は非水溶性の2倍
- 危険性が高いほど指定数量が少ない
例えば、黄リン(20kg)は猛毒で自然発火する非常に危険な物質ですが、赤リン(100kg)は毒性が低く安定な物質です。
乙種受験では該当する類、甲種受験ではすべての数量を覚える必要があります。
指定数量の倍数とは
危険物の数量を指定数量で割って得られる値を指定数量の倍数といいます。
指定数量の倍数は、危険物施設の区分や容量制限、危険物保安監督者等の選任要件や定期点検の要件など、頻繁に登場します。
1種類の危険物の場合の倍数
基本の形です。
例えば、ガソリン(指定数量200L)を1,000L貯蔵している場合、倍数は1,000/200=5となります。
また、灯油(指定数量1,000L)を指定数量の10倍貯蔵しているとき、貯蔵量は1,000×10=10,000Lとなります。
複数の危険物の場合の倍数
危険物ごとに指定数量の倍数を計算し、足し合わせます。
試験に出るのはこの形です。
例えば、ガソリンを50L、エタノールを100L、重油を1,500L貯蔵している場合
50/200+100/400+1,500/2,000=0.25+0.25+0.75=1.25
となります。各危険物は指定数量未満ですが、合計が1以上であるため指定数量以上を貯蔵しているとみなし、消防法の規制対象となります。