貯蔵・取扱いと廃棄の基準

危険物全般の貯蔵および取扱い、廃棄の基準を学びます。(政令第24条から第27条)

貯蔵・取扱いの基準

共通事項

製造所等においては

  • 許可もしくは届出に係る品名以外の危険物を貯蔵し、または取り扱わない
  • 許可もしくは届出に係る数量もしくは指定数量の倍数を超える危険物を貯蔵し、または取り扱わない
  • みだりに火気を使用しない
  • 係員以外の者をみだりに出入させない
  • 常に整理及び清掃を行うとともに、みだりに空箱その他の不必要な物件を置かない
  • 貯留設備または油分離装置にたまった危険物は、あふれないように随時くみ上げる

「みだりに」とは、理由もなくむやみに、という意味です。

正当な理由があれば使用してもよいので、”火気を使用してはいけない”という選択肢は誤りです。

 

危険物に関して

  • 危険物のくず、かす等は、1日に1回以上当該危険物の性質に応じて安全な場所で廃棄等の処置をする
  • 危険物の性質に応じ、光又は換気を行うとともに、適正な温度、湿度または圧力を保つ
  • 危険物が残存し、または残存しているおそれがある設備等を修理する場合は、安全な場所において、危険物を完全に除去した後に行う
  • 保護液中に保存する場合は、保護液から露出しないようにする

保護液から露出

危険物を容器に収納する場合は

  • 危険物の性質に適応した容器で、破損、腐食、さけめ等がないものである
  • 容器をみだりに転倒させ、落下させ、衝撃を加え、または引きずる等粗暴な行為をしない

危険物の類ごと

類別 内容
第1類 可燃物との接触・混合、分解を促す物品との接近、加熱・衝撃・摩擦を避ける

アルカリ金属の過酸化物は、水との接触を避ける

第2類 酸化剤との接触・混合、炎・火・高温体との接近、過熱を避ける

鉄粉、金属粉、マグネシウムは、水・酸との接触を避ける

引火性固体みだりに蒸気を発生させない

第3類 自然発火性物品は、炎・火花・高温体との接近、過熱、空気との接触を避ける

禁水性物品は、水との接触を避ける

第4類 炎・火花・高温体との接近、過熱を避けるとともに、みだりに蒸気を発生させない
第5類 炎・火花・高温体との接近、過熱、衝撃・摩擦を避ける
第6類 可燃物との接触・混合、分解を促す物品との接近、過熱を避ける

同時貯蔵の禁止

貯蔵に関する技術上の基準です。

  • 貯蔵所においては、危険物以外の物品を貯蔵しない
  • 類を異にする危険物は、同一の貯蔵所において貯蔵しない

この2点については、例外もあります。

知っておきたいのは「屋内貯蔵所または屋外貯蔵所において、相互に1m以上の間隔を置く場合(規則第38条の4、第39条)」です。

また、このとき同一の貯蔵所で貯蔵できる危険物の組み合わせは

  • 第1類(アルカリ金属の過酸化物以外)と第5類
  • 第1類と第6類
  • 第2類と黄リン
  • 引火性固体と第4類

等です。

屋内貯蔵所・屋外貯蔵所の基準

屋内貯蔵所および屋外貯蔵所においては、原則として危険物を容器に収納して貯蔵しなくてはいけません。

ただし、塊状の硫黄については例外です。

容器の積み重ねについては、

  • 原則として高さ3mを超えないこと
  • 屋外貯蔵所で架台を用いる場合、高さ6mを超えないこと

とされています。なお、架台自体の高さは6m未満に制限されています。

屋内貯蔵所においては、容器に収納して貯蔵する危険物の温度が55℃を超えないようにしなくてはいけません。

タンク貯蔵所の基準

タンク 通常閉鎖

元弁とは、液体の危険物を移送するための配管に設けられた弁のうちタンクの直近にあるものをいいます。

移動タンク貯蔵所の基準

貯蔵の基準

  • 移動貯蔵タンクには、貯蔵または取り扱う危険物の品名および最大数量を表示する
  • タンクの底弁は、使用時以外は完全に閉鎖しておく
  • アルキルアルミニウム等を貯蔵または取り扱う移動タンク貯蔵所には、緊急時における連絡先その他応急措置に関し必要な事項を記載した書類および用具を備え付けておく

また、以下の書類の原本を備え付けておきます。

  1. 完成検査済証
  2. 定期点検記録
  3. 譲渡・引渡の届出書
  4. 品名・数量または指定数量の倍数の変更届出書

(参考:移送の基準

取扱いの基準

例外となる条件も合わせて覚えましょう。

  • 危険物を貯蔵または取り扱うタンクに液体の危険物を注入するときは、当該タンクの注入口に移動貯蔵タンクの注入ホースを緊結する

ただし、注入ホースの先端部に手動開閉装置を備えた注入ノズル(開放状態で固定できるものを除く)を用いて、指定数量未満のタンクに引火点40℃以上第4類危険物を注入するときは例外です。

  • 原則として、移動貯蔵タンクから液体の危険物を容器に詰め替えてはいけない

ただし、注入ホースの先端部に手動開閉装置を備えた注入ノズル(開放状態で固定できるものを除く)を用いて、安全な注油速度で引火点40℃以上第4類危険物を注入するときは例外です。

  • 危険物を貯蔵または取り扱うタンクに引火点40℃未満の危険物を注入するときは、移動タンク貯蔵所の原動機を停止させる
  • ガソリン、ベンゼンその他静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物を移動貯蔵タンクに出し入れするときは、当該移動貯蔵タンクを接地する
  • 静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物を移動貯蔵タンクにその上部から注入するときは、注入管を用いるとともに、当該注入管の先端を移動貯蔵タンクの底部に着ける

給油取扱所の基準

給油取扱所において自動車等に給油するときは、

  • 固定給油設備を使用して直接給油する
  • 自動車等の原動機を停止させる
  • 自動車等の一部または全部が給油空地からはみ出たままで給油しない
  • 固定給油設備等の周囲に他の自動車等が駐車することを禁止するとともに、自動車等の点検・整備・洗浄を行わない

 

  • 専用タンクまたは簡易タンクに危険物を注入するときは、当該タンクに接続する固定給油設備または固定注油設備の使用を中止するとともに、自動車等を当該タンクの注入口に近づけない
  • 自動車等の洗浄を行う場合は、引火点を有する液体の洗剤使用しない

 

 廃棄の基準

危険物を廃棄する方法は次のように規定されています。

  • 焼却する場合は、安全な場所で、かつ、燃焼または爆発によって他に危害または損害を及ぼすおそれのない方法で行うとともに、見張人をつける
  • 埋没する場合は、危険物の性質に応じ、安全な場所で行う
  • 海中または水中に流出または投下しない

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