危険物保安監督者とは、製造所等の保安のために施設の保安監督・管理を行う人のことをいいます。
政令で定める製造所等の所有者等は、危険物保安監督者を定めて危険物の取扱作業に関して保安の監督をさせなければいけません。(法第13条)
選任要件
危険物保安監督者として選任されるためには、次の条件を満たす必要があります。
- 甲種または乙種危険物取扱者
- 6か月以上の実務経験
保安監督の責任者なので、危険物の取扱いに関する知識はもちろん、業務経験が要求されます。
乙種の場合は、取得した類の危険物の保安監督に限られます。また、丙種危険物取扱者には保安監督者になる資格がありません。
選任・解任の届出
危険物保安監督者の選任は、製造所等の所有者等(所有者・管理者・占有者)の義務です。
選任または解任したときは、遅滞なくその旨を市町村長等に届け出なければいけません。
製造所等
常に選任が必要・不必要な施設については、試験でも頻出です。
常に選任を要する
条件により選任を要する
共通する条件として、「引火点40℃以上の第4類危険物のみを指定数量の30倍以下」取り扱う場合には選任不要です。
- 屋内貯蔵所
- 屋外貯蔵所:指定数量の30倍以下なら不要
- 屋内タンク貯蔵所:数量によらず、引火点40℃以上の第4類危険物のみを取り扱う場合は不要
- 地下タンク貯蔵所
- 簡易タンク貯蔵所:数量によらず、引火点40℃以上の第4類危険物のみを取り扱う場合は不要
- 販売取扱所:数量によらず、引火点40℃以上の第4類危険物のみを取り扱う場合は不要
- 一般取扱所:ボイラー等での消費または詰替をするもので、上記条件を満たす場合は不要
消費・詰替以外の一般取扱所においては、常に選任する必要があるので注意してください。
常に選任を要しない
役割
危険物保安監督者は、次の責務を負います。(政令第31条)
「危険物の取扱作業に関して保安の監督をする場合は、誠実にその職務を行わなければならない」
また、所有者等が危険物保安監督者に行わせなければならない業務は次のように規定されています。(規則第48条)
- 危険物の取扱作業が技術上の基準および予防規程等の保安に関する規定に適合するように作業者に対し必要な指示を与える
- 火災等の災害が発生した場合は、作業者を指揮して応急の措置を講ずるとともに、直ちに消防機関等に連絡する
- 危険物施設保安員を置く製造所等では危険物施設保安員に必要な指示を行ない、その他の製造所等では自ら危険物施設保安員の業務を行なう
- 火災等の災害の防止に関し、隣接する製造所等の関係者との間に連絡を保つ
- その他、危険物の取扱作業の保安に関し必要な監督業務
保安監督者の役割は、作業者に対する指示監督および災害時の対応と連携です。
また、危険物施設保安員を置くような大規模な施設でなければ、自らが保安に関する業務を行います。